2022年3月29日(火)に鹿児島大学病院GRM 内門氏を講師にお迎えし「医療安全ウェビナー「インシデントレポートから患者安全文化の醸成へ」」をオンラインで開催しました。

セミナー概要

講師のご紹介

鹿児島大学病院 医療安全管理部 副部長(医科担当) GRM  内門 泰斗 先生

1997年鹿児島大学卒業
1997年鹿児島大学第一外科入局
2007年鹿児島大学病院消化器センター消化器外科
2014年鹿児島大学病院医療環境安全部安全管理部門 専任
2018年鹿児島大学病院医療安全管理部 専従

2021年度日本病院会医療安全管理者養成講習会 アドバンストコース講師

セミナー開催レポート

セミナーの申し込み時に、医療安全管理者様から業務上のお悩みをたくさんいただきました。

  • インシデント報告件数を増やすためには、どうしたらよいか。看護部以外の職種、特に医師のレポート提出数が少ない。
  • ゼロレベルの報告数を伸ばすために、どのような取り組みが有効か。
  • 再発防止策をどう立てているか。その周知・定着方法はどうしているか。
  • インシデントレポートから、改善策やPDCAにどうやってつなげているか。

内門先生は、これらのお悩みをふまえてご講演を行ってくださいました。
55分のセミナーの内容を、一部ご紹介します。

インシデント報告数を伸ばすには?

インシデント報告を増やすために、鹿児島大学病院様で実際に取り組まれていることを具体的にご紹介いただきました。

「Good Job!として院内に紹介する」という施策では、提出されたインシデントレポートから各部署の未然防止につながった出来事を取り上げ、感謝と共に院内で共有しているということでした。

司会の感想

「未然防止につながった」という観点で、インシデントレポートから良い取り組みを探す・共有するというのは、とても新鮮でした!
どちらかというと「悪いイメージ」を持たれがちなインシデントレポートですが、「Good Job!」として取り上げられるとイメージが良いものとなり、提出数・内容の向上に繋がりそうだと感じました。

インシデントレポートを活かすには?

次に、最もお悩みとして多かった「インシデントレポートの活かし方」についても、鹿児島大学病院様での取り組みをご紹介いただきました。

「現場を確認する」という施策では、実際にラウンドした際の写真を元にお話しいただきました。ラウンド結果は写真と共に各部署へ共有し、ここでも指摘事項だけではなく「Good Job!」も合わせてフィードバックされているとのことでした。

まとめ

前回のセミナー同様、最後に内門先生のお声掛けで指差し呼称の実践を行いました。

質問内容

内門先生には、寄せられた質問に予定していた時間をオーバーして回答いただきました。
どの質問に対しても、鹿児島大学病院様で実際に取り組まれていることを交えて回答されていたのが印象的でした。参加者からの質問内容を一部ご紹介します。

  1. インシデント分析部会においてデータの分析や図表作成は誰がされていますか。また分析や図表作成に情報部はかかわっていますか。
  2. インシデントレポートの書き方をスタッフに教えていますが、なかなかうまく書いてもらえていません。どのような教え方をされていますか?
  3. 同じ患者様のインシデントが発生し、多職種が関わる場合のレポート記載はすべての関係部署に記載していただいていますか?
  4. GoodJobの情報はどのようにして収集されているのですか?
  5. インシデントから拾えるデータをどのように職員に見せれば、施設内に安全文化を意識づけられると思われますか。
  6. 毎月医療安全ニュースを作成していますが、センスがなく毎月悩んでます載せる内容はいくつくらいが理想でしょうか。
  7. レポートの内容で不明な点や、もっと詳細に記載してほしいことが多々ありますが、あまり詳細に突っ込んで聞かないほうがいいですか?

参加者アンケートより

セミナーにご参加いただいた方の感想を、一部抜粋してご紹介します。

身近なテーマで大変役立つ内容でした。
医療安全管理者は一人ですので、大きなことはできませんがコツコツと体制を整備しつつ文書なども整えているところです。
ラウンドを効果的に行いたいと思っているので、今回のお話は参考になりました。ありがとうございました。

報告の流れについて提出の期限を決めることや、報告すべき範囲を具体的に示すことが必要であることを理解できました。
報告されたレポートの周知の方法として医療安全ニュースの具体的な事例がありとても参考になりました。
院内ラウンドのフィードバックも文字だけで無く、デジカメで実際の現場の写真を載せ視覚的に示すことを再認識できました。
オリエンテーションや院内研修、医療安全新聞も文字ではなく視覚的に分かりやすいイラストや写真を活用し工夫していこうと思います。受講できてよかったです。ありがとうございます。

非常にわかりやすいご講義をありがとうございました。
参考になるところと、当院もできていると感じられる点もあり、励まされました。
次年度の活動計画に活かしたいと思います。
ありがとうございました。

インシデントレポートの活用について、ヒントがいただけたように思います。どのような内容を出してほしいか、明文化するはぜひやりたいと思います。
実際の活動を見せていただき、とても参考になりました。
いい研修を受けさせていただきました。ありがとうございました。

とても分かりやすく、参考にできる内容でした。
改めてインシデントレポート提出の意義を確認しました。
医療安全ニュースを発行しようと思いました。
ありがとうございました。

おわりに

改めまして、ご参加いただいたみなさま、ご講演いただいた内門先生に心よりお礼申し上げます。
皆様からいただいたご意見も参考にしつつ、今後もオンラインセミナーを開催していく予定です。