「患者様からの苦情を減らしたい」、「患者満足度やホスピタリティを向上させたい」と
接遇やクレーム対応の研修を行っている病院様は多いと思います。
一方で、スタッフが患者様から受けたクレームを報告する仕組みは、きちんと用意されていますか?
また、クレームは病院として一元管理されていますか?
どのようなクレームが多いか傾向や原因を分析したり、業務やサービス改善のきっかけとして活用するためには、「患者様からのクレームを集めること」が欠かせません。
今回の記事では、「病院が患者クレームを集める5つのメリット」をご紹介しています。
「患者様からのクレームを減らすためにはどうすればよいか」「患者様の苦情にどのように対応すべきか」と悩んでいる、病院の事務長・医療安全管理者様のお役に立てば幸いです。
患者クレームを集める5つのメリット
正確な記録を残せる
決まった様式で報告をしてもらうと、クレームの内容だけでなく、
対応者や患者様を含む関係者、発生の経過や対応策等も、きちんと記録として残せます。
出来事を共有するためだけでなく、後々の業務改善や振り返りに使います。
分析できる
職種や部署別、またはスタッフ・システム・設備といった原因別など、集めたクレームで統計を作成します。作成した統計を使って、どのようなクレームが多いか、対策を検討する余地があるか、分析します。
改善策につながる/レポートを共有できる
分析結果を用いて、実施できる改善策から取り組みます。
全ての業務を、マニュアル化することはできません。
まずは、クレームの内容・対応策をスタッフ間で共有することから始めてはいかがでしょうか。
「前は○○○してくれたのに、なぜ今は対応してくれないの。」、「○○さんは対応してくれたのに。」といった、対応が標準化できていないことへのクレームを防げます。
また、上長や関連部署の責任者へ、クレームの内容をエスカレーションしておくことも大切です。
スタッフの説得に利用する
クレーム対応のマニュアルを用意したり、何か対策を実行する場合、スタッフの協力が不可欠です。
また、部署や職種を横断して、取り組まなければならないケースもあるでしょう。
取り組みの有効性を理解し協力してもらうために、「客観的な数値」・「具体的な患者様の声」を使います。クレームの分析結果や患者様から実際に寄せられた意見を使って、問題意識を共有できれば、取り組みへの協力が期待できます。
患者様へのフィードバックができる
クレームを収集していれば、改善策を行った場合に、患者様へのフィードバックとして、院内掲示や配布物・ホームページ等で発信することも可能です。
病院が患者様からのクレームや意見の内容と改善策を公開することは、「患者からのクレームを受け止めている」「解消しようと努めている」という誠実さを伝える機会となります。
患者クレームの集め方
スタッフからクレームを集める際には、3つのポイントを取り決めておくことが大切です。
報告様式
スタッフに、何を報告してもらうのか分かりやすくするため、なるべく簡単な様式を用意します。
事実を正確に記載してもらうために、記入サンプルを付けたり、書き方の研修を行ったりすることも有効です。
様式例
- タイトル
- 発生日
- 報告日
- 発生部署
- 報告者(匿名報告も認める)
- 患者情報
- 発生の経過
- 対応内容
報告体制
クレームを受けても、いつ・どのように・誰が・誰へ報告するのか、報告体制が定まっていないと、
「報告のしようがない」という状態になります。
スムーズに報告してもらうために、クレーム報告のルールやフローを作成します。
その際、インシデントレポートとの使い分けも検討する必要があります。
また、投書箱のように、患者様自身からも意見を受け付けるのかどうかも、合わせて検討したほうがよいでしょう。
振り返り
集めたクレームは、分析と振り返りを行います。
マニュアルの作成や、研修の実施など、具体的な改善策を実施した場合は、改善内容を院内で共有します。改善内容の周知だけでなく、スタッフは報告をする有効性を感じることができます。
まとめ
患者様からのクレーム対応にお悩みの事務長・医療安全管理者様、クレームを収集するところから始めてみませんか。